レコメンド   「ライアン・アダムス」


 掛け値なしの天才、ライアン・アダムスは1974年生まれのアメリカ・ジャクソンビル出身のシンガーソングライター。
地元ジャクソンビルで結成したバンド・ウイスキータウン解散後、ソロ活動を始めてから才能が開花。Replacementsなどのパンクの系統を受け継ぎながらも、ルーツであるカントリーミュージックのテイストも色濃く残す ーいや、それどころか彼の音楽からはニルヴァーナ、ソニックユースなどのオルタナ系バンドの影響も計り知れなく感じられる。オルタナ+カントリー?と思う人がほとんどかもしれないが、その音楽は90年代のフィルターを紛れもなく通ったオルタナティブ・カントリーとしか言いようのないもの。
 そして彼の音楽こそ、文科系男臭さ全開の叙情・叙事詩なのだ。
なにしろソロ名義のファーストアルバム「Heartbreaker」は全曲失恋歌!
しかも救いなし!なのに限りなく美しい!(救いがない、からか?)
d0023622_0425048.jpg

         Ryan Adams「Heartbreaker」(2000)

 エミルー・ハリスとデュエットした「Oh My Sweet California」は極上。飯を抜いても聴くべし。
 僕は基本的に本気のニヒリストは苦手なんだけど、ライアンの場合は変な愛嬌があって憎めない。そこがニール・ヤングとの違いだ。


 2004年発表の「Love Is Hell」(・・・・)も大傑作。とくに一曲目の「Political Scientist」は静かに始まるが、最後の最後まで一秒たりとも気の抜けない異常な緊張感がある。
d0023622_2115455.jpg

         Ryan Adams 「Love Is Hell」(2004)

 こう書くとやたら暗いアーティストのように聞こえるが、トータルな音像としては実は非常にポジティブなのだ。それは彼が(そして僕も)青春を過ごした90年代というバックグラウンドの影響が非常に大きいような気がする。カート・コバーンの死(よし、時事ネタとからめてやった!)から
、何かロックは喪失感を内にふくむようになった。極論すれば、死んでしまったらおしまい。生きてこそたどり着けるどこかがある。
 ライアンの歌には、「失うこと」についての歌詞が非常に多い。だがそれは本気の厭世ではなく、「だからこそ生きなければならない」、という宣言であり、かれの音楽の本質なのだ。そして彼のイノセンス、「生身」の人間性によって、その音は息が詰まるほどの説得力を持つ。
その音楽が、メインストリームとは百万光年離れたところで鳴っていることに意味がある。
 本当のAlternative(代わりのもの)は、ここにある。    
                             TAKE
[PR]

  by macbeth30 | 2006-03-29 02:31

<< 告知!! ライブ終了! >>

SEM SKIN - DESIGN by SEM EXE